吉川 衛医師 東邦大学医療センター大橋病院 耳鼻咽喉科教授
中条 恭子医師 聖路加国際病院 耳鼻咽喉科部長
飯村 慈朗医師 東京歯科大学市川総合病院 耳鼻咽喉科教授
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午前8:30~12:00 | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
午後2:00~5:00 | ○ | ○ | 休診の 場合有 |
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耳鼻咽喉科は、聞こえ・匂い・味といった感覚から呼吸、嚥下、発声などの運動の障害を治療する科です。そのため診療においては耳・鼻・喉(のど)の炎症から神経的病気、できもの(腫瘍)まで幅広く対応しています。
そして他科との連携を密にし、地域の皆様がより安心でき、「かかりつけ病院」となれるよう日々努力しています。どうぞよろしくお願いいたします。
【耳】
外耳炎、急性・慢性中耳炎、小児の反復性中耳炎、滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎、耳垢、耳管機能不全、突発性難聴、顔面神経麻痺、めまい症
【鼻副鼻腔】
急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症、急性・慢性副鼻腔炎、鼻出血症、副鼻腔良性腫瘍
【咽喉頭】
急性・慢性扁桃炎、扁桃周囲膿瘍、急性・慢性咽喉頭炎、喉頭浮腫、アデノイド肥大症、声帯炎、声帯ポリープ
【頭頸部疾患】
顎下腺・耳下腺・舌下腺などの唾液腺の炎症・腫瘍、唾石症、甲状腺腫瘍、頸部嚢胞
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外来 担当医 |
木村 | 川﨑 | 吉川 | 第1,3 露無 第2,4 中条 |
- | 第1,3,5中島 第2,4 飯村 |
外耳炎
鼓膜より外側の外耳道と呼ばれる場所に炎症を起こす病気。主に耳の掃除など、耳を触りすぎることによって起こることが多いです。
急性中耳炎
鼓膜より内側の中耳という場所が炎症を起こし、耳が痛くなる病気。炎症の程度がひどくなり鼓膜に穴が開いてしまうと耳だれが出ることもあります。
慢性中耳炎
幼少時に中耳で炎症を繰り返したりすることで、成人以降に発症する慢性の炎症性疾患です。耳だれなどを繰り返すことにより、徐々に難聴が進行する場合があります。
反復性中耳炎
鼓膜切開を必要とするような急性中耳炎を、頻回に繰り返す状態を反復性中耳炎といいます。保育園などに通う3歳までの小児に起こりやすいです。
滲出性中耳炎
鼓膜の内側の中耳という場所に滲出液がたまり、聞こえが悪くなる病気。長期にわたり滲出液がたまったままの場合は、耳の発育成長に悪影響をおよぼし、大人になったとき慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎などの原因になることがあります。
真珠腫性中耳炎
鼓膜の内側の中耳に皮膚の一部が入り込み、そこで皮膚からの落屑物が蓄積し、炎症を起こすことで耳の骨を壊していく病気です。
耳垢
大量の耳垢が蓄積しすぎるとかゆみを起こしたり、聞こえが悪くなったりします。小さいお子様の耳垢のそうじが困難な場合は、遠慮せずに耳鼻咽喉科専門医に除去してもらいましょう。
耳管機能不全
鼻の奥には、鼻と耳をつないでいる耳管という管があります。通常この管は唾を飲み込んだときに開いて耳の換気を行います。この管が狭くなると耳管狭窄症となり、耳閉感がでます。進行すると滲出性中耳炎を起こすこともあります。逆にこの管が開きっぱなしになると耳管開放症となり、耳閉感や自分の声が直接耳に響く(自声強聴)、自分の呼吸音が聞こえる(自己呼吸音聴取)、などが生じます。
突発性難聴
突然、片側の聞こえが悪くなる病気です。めまいを伴う事もあり、高度な難聴の場合は入院して点滴治療が必要になります。
聴神経腫瘍
内耳の聴神経にできものができる病気。症状は徐々に進行する難聴ですが、突発性難聴のように急激に難聴が進行することもあります。
顔面神経麻痺
顔面神経が炎症を起こし、顔が動かしにくくなる病気。顔面神経麻痺のうち水痘・帯状疱疹ウイルスによるものはハント症候群といい、原因不明の場合はベル麻痺といいます。
【めまいの病気一覧】
良性発作性頭位めまい症
三半規管の中にある耳石という石がずれてしまい、頭をある方向に動かすとずっとその方向に動き続けているような感覚を起こしてしまう病気です。
メニエール病
めまい、ふらつき、耳鳴り、難聴などの症状を反復する病気です。
前庭神経炎
体のバランスをとっている神経が炎症を起こし、バランスを崩してめまいを起こしてしまう病気です。
頚性めまい
首の中を走行している耳の動脈が、首をひねることにより狭くなり、耳への血液が不足して起こる病気です。
椎骨脳底動脈循環不全
体のバランス感覚を支配する脳や耳を支配する血管で、血液の巡りが悪いことによってめまいを起こしてしまう病気です。
起立性低血圧症
立ち上がった時に脳へいく血液が足りなくなり、立ちくらみを起こしてしまう病気です。
急性鼻炎
いわゆる“鼻カゼ”です。細菌感染などが合併し、色のついた鼻汁が出はじめると、抗生剤を用いて治療を行う方が早く治ります。
アレルギー性鼻炎
一年中症状の続く通年性アレルギー性鼻炎や、スギ花粉症などのある特定の時期に症状が起きる季節性アレルギー性鼻炎があります。血液検査や生活習慣などから原因物質が特定できた場合は、その物質に接触しないようにすることが重要な予防になります。抗アレルギー薬は眠気が出やすい傾向がありますが、薬の種類は多岐にわたり、患者様それぞれにあった薬を選びますのでご相談ください。
舌下減感作療法が始まります
舌下減感作療法とは、アレルギーの原因となる物質を少量ずつ体内に入れて
免疫を作り、アレルギーの過敏な反応を減らしていく治療法です。
花粉症、アレルギー疾患、通年性アレルギー性鼻炎などに対して行われます。
詳しくは、飯村 慈朗医師(第2・4土曜日)へご相談ください。
薬剤性鼻炎
鼻閉に対して、粘膜の血管を収縮させる働きのある点鼻薬を使い続けることによって起こる病気です。
鼻中隔弯曲症
左右の鼻を隔てる仕切りの部位を鼻中隔といいます。それが極端に曲がり、鼻閉の原因となる場合を鼻中隔弯曲症といいます。鼻中隔は7、8割の人で成長とともに自然と曲がりますが症状がなければ特に治療する必要はありません。しかし鼻中隔弯曲が強く、高度の鼻閉となり、飲み薬や点鼻薬で十分な効果が得られない場合は、手術が必要となります。
急性副鼻腔炎
急性鼻炎が悪化し、鼻の奥にある副鼻腔にまで炎症がおよび、額や頬に痛みが出てしまう病気。子供では鼻の中と副鼻腔をつなぐ仕切りが未発達であるために、大人と比べて急性副鼻腔炎になりやすい傾向があります。
慢性副鼻腔炎
副鼻腔炎の状態が3ヶ月以上継続する場合、慢性副鼻腔炎となります。鼻汁、鼻閉に加え、額や頬の痛み、鼻汁が喉に落ちる(後鼻漏)などの症状が出ます。抗生剤を通常の半分の量にして2、3ヶ月間連続して飲む治療(マクロライド少量長期投与療法)を行います。鼻ポリープ(鼻茸)があると内服や点鼻だけで治すのは困難な場合があります。
鼻ポリープ(鼻茸)
鼻内の炎症が長期間におよび、鼻の粘膜が徐々に腫れ上がり、できものの様に突出してしまったものを鼻ポリープ(鼻茸)といいます。飲み薬や点鼻薬によりある程度ポリープを小さくさせることが出来ますが、高度な場合は手術的な治療をしないと治らない場合もあります。
鼻出血症
鼻の中は、比較的浅いところに血管があり、乾燥により粘膜が傷ついたりし、特に大きな病気がなくても出血を起こしやすい場所です。約90%の出血は、左右の鼻の仕切りである鼻中隔の前端部からで、小鼻をつまんで圧迫すれば止まることが多いです。しかし頻回に繰り返す場合や難治性の場合は、血管を焼いて止血を行います(電気凝固止血術)。
嗅覚障害
嗅覚障害の原因としては、慢性副鼻腔炎などの鼻の慢性炎症に伴うもの、ウイルス感染による感冒など鼻の急性炎症に伴うものが多いです。嗅覚障害を長期間放置していると回復しなくなります。原因を見極め、しっかりとした治療をして回復させましょう。
副鼻腔良性腫瘍(副鼻腔乳頭腫)
副鼻腔にできるできもの(腫瘍)で一番多いのが副鼻腔乳頭腫です。ヒトパピローマウイルスと呼ばれるウイルスが鼻の粘膜に感染を起こすことにより、できてしまいます。徐々に大きくなり、鼻汁、鼻閉、頭痛、鼻汁に血が混じるなどの症状を起こします。この病気が見つかった場合は、稀に悪性化することがあり、手術による完全な除去が必要になります。
急性扁桃炎
口蓋垂(のどちんこ)の両脇にある扁桃腺(口蓋扁桃)という組織が炎症を起こして、のど(喉)が痛くなる病気。主に細菌感染により起こり、抗生剤を正しく使用することで改善します。急性扁桃炎が悪化した場合には、扁桃周囲膿瘍などの重篤な状態に発展してしまうことがあり注意が必要です。
慢性扁桃炎(習慣性扁桃炎)
急性扁桃炎を定期的に繰り返す状態を慢性扁桃炎(習慣性扁桃炎)といいます。治療法は急性扁桃炎に準じ、抗生剤などの治療が中心となります。頻回に繰り返す場合には手術をお勧めする場合があります。
扁桃周囲膿瘍
急性扁桃炎が悪化し、扁桃腺の裏側に膿が溜まってしまった状態です。膿を排泄させ点滴治療となるため、入院での治療が必要になります。
急性咽喉頭炎
咽喉頭とは、のどの奥の部分です。咽喉頭でウイルス感染や細菌感染などにより炎症を起こし、赤く腫れたりする病気を急性咽喉頭炎といいます。細菌感染の場合は抗生剤を使用します。
慢性咽喉頭炎
急性咽喉頭炎を反復し、のどの軽い炎症症状を長期間にわたって起こす病気です。
喉頭浮腫
のど(喉)の奥でのどぼとけ付近は、気管と食道の分岐点であり喉頭という部位です。ここは、気道の一番狭いところです。ここで炎症が悪化すると、周辺がむくんで呼吸困難となってしまう可能性があります。
アデノイド肥大
アデノイドは咽頭扁桃ともいい、鼻の突きあたり、口蓋垂(のどちんこ)の上側にあります。扁桃腺(口蓋扁桃)と同じように体を守る働きを持ちます。通常5、6歳をピークに退縮していきますが、アデノイドが異常に大きくなってしまうと睡眠時無呼吸症や滲出性中耳炎の原因になることもあります。
声帯炎
喉頭には、声帯と呼ばれる声を出す器官があります。のどに炎症を起こし、炎症が声帯の部分にまでおよぶと声帯炎となり、声帯がむくみ、声がれなどの症状を起こします。また大声を出し続けることによっても声帯の粘膜は痛み、炎症を起こします。
声帯ポリープ
声帯の一部がポリープ状に盛り上がり、声枯れを起こしてしまう病気。声の使いすぎや、喫煙が原因となることがあります。病気の初期ですと声の安静や薬の使用で改善しますが、長期にわたって声帯ポリープがある場合は、手術が必要になります。
急性耳下腺炎
両耳の下にある耳下腺という唾液腺に炎症が起こり、耳下腺が腫れ上がってしまう病気です。
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)
ムンプスウイルスというウイルスによる感染性の耳下腺炎です。
唾石症
唾液を作る唾液腺の出口部分に石ができてしまい、食事などをきっかけとして唾液の流れが妨げられ、唾液腺が腫れ上がってしまう病気です。
副鼻腔とは鼻の周りにある空洞で鼻の働きを補助する場所です。
つまり温度・湿度の調整を補助したりする空調器官と考えて下さい。
鼻の役割:1 匂いを嗅ぎます。
2 呼吸する際の空気調節をします。温度・湿度の調整,
ほこりなどの濾過、感染防御をしています。この作用
がなくなると鼻の乾燥、炎症を起こしやすくなります。
3 音の共鳴。鼻閉があると鼻づまり声となります。
そして副鼻腔炎とは、何らかの原因でこの副鼻腔という空洞に炎症を起こしたものです。副鼻腔炎の状態が1カ月未満の場合が急性副鼻腔炎、3ヵ月以上続いた場合が慢性副鼻腔炎と診断されます。慢性副鼻腔炎にはさまざまなタイプがありますが、注意が必要なのは、従来の慢性副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎、副鼻腔真菌症の3つです。
★従来の慢性副鼻腔炎
副鼻腔に膿が溜まる、いわゆる“蓄膿症”で、患者さんの多くがこのタイプです。主な症状は鼻閉、鼻内異臭、後鼻漏(鼻汁がノドに垂れ込む症状)などで、日常生活にも支障が出てきます。
★好酸球性副鼻腔炎
好酸球は白血球の一種で、免疫に関わる細胞の1つです。好酸球が何らかの原因で増加し、働きが過剰になって、副鼻腔炎が起こると考えられています。近年このタイプの患者さんが増加しており、難治性副鼻腔炎に属しています。従来の副鼻腔炎にくらべ、病変が篩骨洞優位に出現するために早期に嗅覚障害が出現しやすく、しばしば喘息を合併いたします。手術を施行しても従来の副鼻腔炎に比べ予後は悪いとされていますが、手術を行うことで病態・症状のコントロールを良好にすることができております。
★副鼻腔真菌症
副鼻腔で真菌(カビ)が増殖し、炎症が起こります。初期には症状が現れないこともあり、真菌の塊が直径4cmほどにもなって初めて気付くこともあります。片側に起こることが多く、鼻内異臭などの症状も多くが片側に現れます。
【副鼻腔炎の治療の流れ】
治療は、粘膜の炎症をとり、鼻汁や膿をなくすようにします。局所処置・ネブライザー治療、内服治療、手術療法などがあります。
★局所療法:鼻汁の吸引、ネブライザー治療、患部の洗浄
(鼻汁の吸引…鼻と副鼻腔に溜まった鼻汁を器具で吸引し、きれいにします)
(ネブライザー治療…ネブライザーという吸入器で、鼻の炎症を抑える薬を霧状にして直接炎症部分に当てる治療方法)
★薬物療法:薬の服用
1 抗生物質・・少量長期投与で細菌の急性増悪を抑制
2 粘液溶解剤、消炎酵素剤・・粘膜の炎症をなくさせます
3 抗アレルギー剤・・アレルギーによる炎症をなくします
★手術:膿や真菌の塊を取り除く、副鼻腔の通路を広げ炎症が蔓延しないようにする
慢性副鼻腔炎で薬物治療の効果が乏しい患者さんには、形態の是正と最小の侵襲を考慮にいれた手術療法を行います。内視鏡による手術であり、細部まで死角なく繊細な手術操作が安全かつ容易に行えるようになっております。当院では、鼻科手術暫定指導医として技術担保されている吉川衛教授(東邦大学医療センター大橋病院)が責任を持って執刀致します。